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役所変える強い意志

北海道新聞「見えますか憲法・103の探しもの」(1995年9月22日)より
(掲載された文章とは若干異なる。)

役所変える強い意志

芳賀 耕一  

 小さな町では、町民一人一人の意見を直接町政に反映させることも可能だ。その反面、役場に権力が集中しやすく、批判を許さぬ雰囲気も生まれやすい。
 新得町では、一九九一年、サホロリゾート拡張計画の環境アセスメントをきっかけに、町政に対して発言する町民が増えてきた。ところが、行政や町の有力者たちは圧力によって町民の声を抑えようとした。町の臨時職員など三名が職を失い、様々なひぼう中傷があったから、圧力にだけは一歩も引けなかった。
 町長の小説を名誉毀損であると訴えた「クマゲラの里」訴訟、第三セクター「新得酒造公社」の不正経理と町費による補てんを違法とする住民訴訟。その後、五期二十年務めた町長は勇退を表明した。
 一九九三年の町長選、「無投票だけは避けたい」と立候補した能登裕氏は「自由にモノの言える町」「隠し事のない町」を訴え続けた。大差ではあったが、この訴えは町政を動かし、新町政は住民の声を聞く努力を始めている。行政にとっても、隠すより知らせる方が、ずっと問題の解決は容易なことが明らかになり、新得町にも情報公開制度が設けられた。
 何の力も持たない住民が、行政や事業者と話し合いをしようと思えば、正確な情報をできるだけたくさん集めなくてはならない。「知る権利」をお役所の都合で狭められては困るから、一石を投じるつもりで道相手の情報公開訴訟をおこした。
 役人は自分の非をなかなか認めたがらない。訴訟による解決が好ましいとは思えないが、住民が「訴訟も辞さない」という強い意志を示した時、初めて行政も本気になるのかなと思う。
 道という巨大な組織が簡単に変わるとは思えないが、住民の一つ一つの努力がほんの少しずつでも道政を変えて行くと信じたい。